植物と源氏物語
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昨日の、
の続きです。
一昨日、松谷茂氏(京都府立植物園名誉園長/京都府立大学客員教授)の『源氏物語の植物をめぐる』という講座を受講しました。
京都府立植物園で松谷先生と歩きながら学ぶ講座です。
これが非常に面白かったのです。
源氏物語には、約110種類の植物が登場するといいます。
木竹類約50種類、草木類約60種類、シダ類や熱帯植物も含まれているそうです。
そして、54帖のうち約半分に植物に関連した名前がついています。
今から千年も前、紫式部は身近にある植物の変化していく過程を時間をかけて観察し、その生きざま死にざまを五感で感じ物語展開に絶妙に登場させた。
当時、一人の女性が物語に多くの植物を登場させることは画期的なことであったが、そのことよりも、多くの植物の名前のみならず、その植物のいろいろな特徴も同時によく知っていたことに驚く。
<中略>
彼女はただ漫然と植物を見ていたのではなく、植物が生長し変化していく様を様々な角度から観察、現代のわれわれが今、忘れかけている、植物がゆっくりと動きゆく姿を長い時間軸上に置いてじっくりと見続けていたに違いない。
「源氏物語の植物をめぐる」松谷茂 より抜粋
松谷先生は、源氏物語における紫式部の植物への視線は、時間軸に沿ったフェノロジー(植物季節学)的な観察であるとし、源氏物語は日本の植物(史)誌上からも貴重であるとも言及されています。
<たびたび登場する女郎花~風に揺れる優雅な姿→女性美の象徴→靡きそうで靡かない芯の強い女性を表す>
私は、宮仕えするほどの身分であった紫式部が、どのようにしてこのように多くの植物を知りえたのかが不思議でなりません。
当時の高貴な女性たちは今の私たちの様に自由に外出することもありません。
外出するにしてもその機会と範囲は極めて限られています。
その中で、これほどの植物を登場させ、その美しい花を愛でるだけでなく、枯れ行く姿、その根の形にも言及しています。
紫式部の植物に対する関心の高さと見識の高さはその通りであると思いますが、決して、彼女だけが植物マニアであったということではないのだと思います。
源氏物語の読み手であった貴族たちもまた、登場する植物を知っていたからこそ、物語が成立するわけですから。
当時の貴族たちの植物への関心の高さを示しているのではないでしょうか。
講座では、40種類の植物がピックアップされ、実際に園内を歩きながら解説を受けました。
知らなければそのまま通り過ぎてしまう場所も、解説を受けると興味深い場所となります。
ということで、今回も肝心の「香り」に行きつかないままでした💦
回を改めて、今度こそ、源氏物語における植物の香りについて書きたいと思います。