臭い靴下+バニラ≒チョコレートの香り~嗅覚の不思議
本物と上質を求める大人のためのアロマテラピーサロン「アロマテラピー&リラクセーション Shinoa」のブログにお越しいただきありがとうございます。
アロマ基礎コースでのアロマクラフト作りやアロマレッスンでは、複数の精油をブレンドして、受講者様のお好みの香りを作っていただきます。
その際に、実際に嗅がないで、好きな精油をいくつかピックアップされる方がおられます。
あるいは、いろいろな香りの組み合わせを試さないで、即決される方もおられます。
そんな時には、
「ブレンドした香りがどんふうに香るのか、実際に試してから決められるといいですよ。」
とお声がけしています。
というのも、香りは単純な足し算ではないのです。
好きな香りを組み合わせても必ずしも好きなブレンドにはならないことが多いのです。
香りは組み合わせで変わるという面白い例があります。
靴下の臭い匂いも、バニラの香りを加えるとチョコレートの香りとして感じられるのです!
(詳しくは<参考>をご覧ください)
組み合わせだけでなく、濃度によっても我々の嗅覚の受け止めは全く異なります。
例えば、スカトールという糞便の匂いは、ごくごく薄めると花の香りとして香水に加えられたりします。
精油も組み合わせや量を変えることで全く違う表情を見せてくれることが良くあります。
アロマテラピーの面白さの一つです。
いろいろと試しながら、自分の脳が一番喜ぶオリジナルブレンドをみつけてください 😀
<参考>2020年7月1日 配信 朝日新聞デジタル「くさい靴下+バニラ=チョコ? 九大が嗅覚のなぞを解明」より抜粋
嗅覚は、鼻の奥にある神経細胞が様々なにおい物質を感知して、脳に伝達している。
複数のにおい物質を嗅いだ際はそれぞれの成分の「足し算」として認識されるという定説があったが、実際には臭い靴下のような「イソ吉草(きっそう)酸」と、バニラの香りの「バニリン」を合わせるとチョコレートの香りに感じるなど、説明できない事例も知られていた。
九大の稲垣成矩(しげのり)研究員(神経科学)らは、この仕組みを解明しようと神経細胞が光るようマウスの遺伝子を操作。バナナの香りの成分などを嗅がせた際の神経の働きを顕微鏡で調べた。
すると、におい物質の感知で「活性化」して光が強まる細胞だけでなく、光が弱まって神経の働きが「抑制化」される細胞があることを世界で初めて発見した。
さらに複数のにおいを混ぜて嗅がせた実験では、それぞれを単独で嗅がせるよりもはるかに反応が高まって細胞が光る「相乗効果」のケースのほか、単独で嗅がせるよりも反応が弱まって細胞の光も弱まる「拮抗(きっこう)作用」がみられるケースもあった。
においの足し算や引き算が複雑に起き、香りの調和を感じる原因と考えられるという。靴下の例では、靴下の臭さを拮抗作用で抑制し、チョコの香りを相乗効果で感じるなど両方が影響している可能性があるという。
人間とマウスは嗅覚の仕組みが似ており、今後はわずかな量で香水の香りを変えられる調合などを科学的に探索しやすくなることが期待できるという。
チームの今井猛・九大教授(神経科学)は「今回は基礎的な発見だが、食品の臭みを抑えるなど応用に向けた新しいアプローチになると考えられる」と話している。(竹野内崇宏)