アロマテラピーの効果を説く人を信じてはいけない!?~アロマ基礎コース
本物と上質を求める大人のためのアロマテラピーサロン「アロマテラピー&リラクセーションShinoa」出野です。
私が所属している(公益社団法人)日本アロマ環境協会(以下、AEAJ)の公式テキストが、2019年に新しくなりました。
当教室では、このテキストをメインに、独自資料をプラスして、「アロマ基礎コース」を開講しています。
11月30日に大阪で行われたAEAJのアロマ大学では、熊谷理事長自ら、このテキストの読み方をレクチャーされました。
新テキストでは、前テキストに記載されていなかった効果・効能について、記載されています。
例えば、「ゼラニウム」のページは、
「ゼラニウム精油の香りで、唾液中の女性ホルモン(エストロゲン)の濃度が優位に上昇したという報告があります。女性特有の悩みへの活用が期待できます。」
と書かれており、さらに、囲みで、研究データの紹介と原著論文の所在が記されています。
かつての公式テキストには、各精油の効果・効能についてかなり踏み込んだ記載がされていました。
例えば、私の手元の2003年「日本アロマテラピー協会」発行のテキスト「精油のプロフィール:ゼラニウム」のページには
「精神と肉体のリズムのバランスを整え」
「不安とうつを鎮め」
「精神を明るく高揚させる傾向」
「心身の緊張により情緒不安定を癒し」
「内分泌系(ホルモン分泌)調整作用に優れていて、生理のリズムの乱れを整えるためや、月経前の不快な症状や、月経痛、更年期障害を和らげるためによく用いられ」
「むくみを改善する働き」
「スキンケア」
とその多様な効果・効能が説明されています。
しかし、(特に内閣府に公益認定された公益社団法人となってから?)は、そのあたりの表現が慎重になり、効果・効能は前公式テキストには記載されなくなっていました。
そして、効果・効能は、「アロマテラピー についての研究紹介」という形でパンフレットやホームページで紹介されるようになりました。
今回の改訂により、パンレットやホームページを見なくてもテキストに、効果・効能に関する現段階の研究の到達点に基づく情報が得られることを歓迎していたのですが、その裏には大変なAEAJの努力があったそうです。
今回のテキストでは、エビデンスの強度によって、表現を慎重に書き分けているそうで、
例えば、
「~という報告があります」としているものはエビデンスの強度◎、
「~の作用が知られています」「~の作用が期待できます」「~によいとされ古くから用いられてきました」は〇、など。
熊谷理事長はご自身が博士号を取得され、アロマテラピーに科学的にアプローチする姿勢を大事にされていることは会員にとってもありがたいことだと感じています。
熊谷理事長は、「今回のテキストでは公益社団法人として書ける、ギリギリのところまで書いた」とおっしゃいました。
ただ、エビデンスがあり、「~という報告があります」とされていても、「~に効果があります」とか「効きます」と安易に言えるわけではありません。
なぜならば、
◆様々な実験によって、個別の効果・効能についてのデータはあるものの、なぜ効果があるのかのメカニズムがまだ解明されていない
◆研究者がジャーナル(専門誌)などに論文として発表しても、それだけで科学的に正しいとは必ずしも言えない。
科学的に正しいと言えるには、多くの異なる方法や条件で結果が間違いないことが多くの研究者に認められる必要があり、これには相当の時間がかかる
からです。
「アロマテラピーの効果・効能は科学的に解明されている」とはまだ言えない段階にあるのです。
現段階で、「この精油は○○に効きます」という安易な言い方はできないし、こういうことを口にしている人(団体)には、注意が必要ではないかと私は思っています。
Shinoaのアロマレッスン(講座)では、
「この精油はこういった効果があると言われて歴史的に使用されてきた」
「この精油にはこういう効果があるという研究発表がなされた」
等、切り切り分けながらお伝えするように努めています。
嗅覚に関わる研究はまだ未知の部分が多く、ホットな研究領域になっていると聞きます。
多くの研究者によって、様々な角度で研究が進み、公式テキストにアロマテラピーの効果効能がもっともっと記載される日が待ち遠しく思われます。