母の介護と介護報酬改定のこと
本物と上質を求める大人のためのアロマテラピーサロン「アロマテラピー&リラクセーション Shinoa」のブログにお越しくださってありがとうございます。
今日はアロマテラピーと関係のない話ですが、よかったらぜひご一読ください。
3月4日は母の命日でした。
冷たい風の中にもキラキラと春の日差しを感じると、あの日を思い出します。
母の介護は包括支援センターの方々、デイサービス・訪問介護の方々無しではできませんでした。
私は、約29年間大学職員として勤務していたので、自分は社会人として、実務も必要な判断もある程度はできるのではないかとうぬぼれていました。
しかし、介護の必要になった母に向き合ったときに、何一つできない無力な自分に愕然としました。
体位変換もおむつ替えも、車いすへの移動もそれはそれは難しい事でした。
母に「痛い!」と怒られたり、母を抱えて一緒に床に転がったり。
食事を飲み込んでもらうことも、薬の服用もできません。
要するに介護の場面で私は何の役にも立たないのです。
そんな私には、訪問介護のヘルパーさんやデイケアの看護師さん、介護士さんが、まさに「神」に見えました。
笑顔で、鮮やかに仕事をされるのです。
勿論それは大変な重労働です。
頼りない私は、無能なくせに、今の母の姿が辛く、泣いてばかりいました。
そんな私に、ヘルパーさんが言われました。
「大丈夫!私たちは、患者さんだけでなく、ご家族さんも支援しますからね。」
いつも原付バイクで颯爽と来られるの姿は、まるでヒーローでした。
あるとき、雪が積もってバイクが通れない日がありました。
どうしたものかと不安でいっぱいの私が玄関で待っていると、雪の中、一歩一歩踏みしめながら、ヘルパーさんが来てくださいました。
「みんな、待ってくれてはるからね。
何としても来させてもらいますよ!」
と真っ赤なほっぺでおっしゃって、私が思わず、手を合わせて拝んだら大笑いされました。
そんな訪問介護事業の36%が赤字だそうです。
さらに、新年度からの介護報酬改定で、訪問介護については減額することが決まったというのです。
引き下げの根拠として、厚生労働省は「経営実態調査(2022年決算)で訪問介護の収支差率(利益率)が全体で7.8%となり、全サービス全体の平均2.4%を上回った」ためだと言います。
しかしこれは数字のマジックです。
都市部の大手事務所やサービス付きの集合住宅に併設され効率よく訪問できる事業所が平均を押し上げているのです。
中小の訪問介護事業が撤退しては、訪問介護は成り立ちません。
そうでなくても現在、介護の最前線で奮闘くださっている方々の賃金水準は、仕事に見合うものでは全くありません。
介護離職を防ぎ、女性が働き続けるためにも介護政策の充実は欠かせません。
介護保険は、長らく家で嫁や娘が担うものとされてきたところから、社会で担うという大きな転換であり、これなくしては、私は働き続けることはできませんでした。
親の介護はほとんどの人が必ず直面する課題であり、自分の老後は必ずやってきます。
私たち全員の課題であるにも関わらず、あまり議論にならないのは、おかしいと声が上がらないのは、なぜなのでしょうか。
介護が終わった日、デイサービスの方、訪問介護の方が皆さん一緒に泣いて下さり、私の肩を抱いて下さいました。
何の役にも立たなかった私に、
「よくがんばられましたね。
おかあさんは幸せでしたよ。」
と言ってくださいました。
今も、彼女たちは、どこかで同じように多くの人を助けておられるはずです。
そんな介護にかかわる仕事してくださる方たちの尊い仕事がもっともっともっと評価されねばならないと強く思うのです。
昨日のニュースでは、2024年春闘の賃上げ要求において、電機大手や自動車業界では、要求の満額回答が相次ぎ、要求額を超える回答もあったと報じられました。
このニュースを訪問介護に関わる方たちはどんな思いで見られるのかと思うと、たまらない気持ちになります。
介護と同時にまた、保育士さんの待遇改善も喫緊の課題だと感じています。
介護と育児の支援をないがしろにして、少子化対策だの、女性の活躍だのできるわけがない!
と、私は怒っています。