夢が潰えても、ひこばえのように
本物と上質を求める大人のためのアロマテラピーサロン「アロマテラピー&リラクセーション Shinoa」のブログにお越しいただきありがとうございます。
【今回は、アロマテラピーには関係のない話題です】
京都市北区の平野神社にこんな木があります。
以前はクスノキでしょうか、大きな木が2本あったのです。
その木がある日、バッサリと切られてしまいました。
私はてっきり、もうこの木たちは枯れてしまうと思いました。
しかしながら、いつの間にか切り口の横から、小さな枝が沢山伸びてきました。
今や葉っぱが茂り、こんもりと、まるで当初からこのような樹形の木であるようにすら見えます。
このような枝を「ひこばえ」と呼ぶそうです。
先日、お世話になった方が、結婚して間もないお連れ合いを亡くされました。
人生の後半期を共に過ごそうと、温かく楽しい夢を2人で描かれていたことでしょう。
しかし、運命は時に残酷です。
このクスノキも、かつては天に向かってまっすぐに、その幹を伸ばしていたのです。
しかし、その幹は、突然に伐採されました。
クスノキはもう以前のように、太くたくましい幹をすくすくと成長させることが出来なくなりました。
しかし、その周りから出た沢山の細い枝は、少しずつ太くなり、また、天に向けて伸びています。
私たちの人生もまたこういうものではないでしょうか。
誰もが、それぞれの環境のもとで、幸せになりたいと夢を抱きます。
でも描いた夢の道筋を、突如、断ち切られることがあるのです。
それはつらく悲しいことです。
潰えた夢を抱いて、私たちは時には怒りながら、泣き叫びます。
夢がかなわないなら、もうこんな世に生きる意味がないと、絶望を味わいます。
しかし、いつか少しずつ少しずつ傷を癒しながら、異なる人生を歩み始めることが出来るのです。
勿論、思い描いた、たどるはずだった幸せな人生を忘れることはできません。
それでも、また細い枝を太陽に向けて伸ばせるようになるのです。
23年前に亡き娘と飾ったクリスマスツリーは、あれ以来、箱に入れたままでした。
今日、私は、箱を開け、娘に話しかけながら、ツリーを飾りました。
そのきっかけは、お客様のさりげない一言でした(このことは、また改めて書きたいと思います)。
娘をあきらめることなど今でさえとても出来ないけれど、あの日から、私も懸命に小さな枝を伸ばして生きて来たんじゃないかと思うのです。
右に写っているのは平野神社境内の樹齢400年のクスノキです。
400年前というと江戸時代、将軍は徳川家光です。
長い長い何月、このクスノキは、人間の抱く変わらぬ悲しみや喜びを見つめてきたことでしょう。